六甲山ビジターセンター Mt.Rokko Visitor Center

六甲山の学び

“Facility introduction”, “Guide tour”, “HighKing trail” is translated into English.

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2022年6月3日

コアジサイ 香り漂う 霧が谷

ビジターセンター午前10時の気温は、24℃。もう寒くないです。

今日は、霧が谷コースを目指してスタートしました。

霧が谷コースは、六甲山の南側斜面でより暖かいので、幾分、花の開花は早めです。

霧が谷コースに入ると、すぐに香り漂う気配です。

先日は、まだつぼみで白い色だったのですが、すっかり青味がかってきました。コアジサイ(アジサイ科)です。六甲山で咲くアジサイの仲間では、一番乗りで咲きます。でもアジサイ特有の飾り花はありません。その代わり、ほのかに甘い香りがします。飾り花でなくこの香りに誘われてやってくる虫たちがいるのでしょう。

もう少し、近づいて見ましょう。

何ともいえない爽やかな色合いです。香りもよくします。雄しべが突き出ているのがよくわかりますね。

足元に小さな白い花が咲いていました。

ウシハコベ(ナデシコ科)です。花の真ん中にある雌しべが、5つに分かれているのがわかるでしょうか。これが、ウシハコベの決め手です。ふつうのハコベは、雌しべの先は、3つに分かれています。ウシハコベがある場所ということは、昔からの環境が残っていると言っていいでしょう。

思わず笑顔が出てしまうものに、今年も出会いましたよ。

その季節がやってきたのです。野山のイチゴの中で一番おいしいナガバモミジイチゴ(バラ科)の実です。すぐに頬張ってしまいました。今からどんどんでき始めますよ。イチゴの好きな人、全員集合、と言いたいぐらいです。

霧が谷を随分下ったところでは、黄色い面白い形の花が咲いています。

シラキ(トウダイグサ科)と言います。シラキは漢字で白木と書き、なるほど幹を見ると白です。葉をちぎると茎から白い液体が出てきます。トウダイグサ科というから、花が縦向きに灯台のようなのでしょうか?もう一つトウダイグサ科の樹木がありました。

アカメガシワ(トウダイグサ科)と言って、幼い葉はしばらくの間は赤色です。この赤い部分に紙を押し当ててこすると、紙のこの葉の形がくっきり写り子どもたちは喜びます。小さな赤い産毛が集まっているのです。この木は、標高の低いところでもあるので、どこかで見た覚えのある人は多いと思います。

顔を上げると白い花びらが目につきました。

大木をはい上がっているつる性の植物でした。白い花びらが一枚ずつついているので、イワガラミ(アジサイ科)と言います。先ほど、アジサイの中でコアジサイが一番咲くのが早いと言いましたが、イワガラミも早いですね。このイワガラミは、木に登っていますが、岩にもからんでいくので、イワガラミと命名されたのですね。うまいこと名前をつけるものです。

今度は、目を下に転じると、小さな小さな3mmぐらいでしょうか、花が咲いていました。

オヤブジラミ(セリ科)です。小さな花びらの下には、もう実を作る準備をしているように膨れています。そこにたくさんの毛が生えていますね。この毛で、いろいろなものにくっつくのです。シラミのようでもありますが、子どもたちに、このことを話すと喜んでくっ付けごっこを始めますよ。

最後は、池に近づくと黄色の花がたくさん咲いていました。

少し遠くからの写真なので、分かりにくいかもしれませんが、手前がアサザ(ミツガシワ科)で、向こう側の背の高い黄色の花は、キショウブ(アヤメ科)です。この二つの花は正反対なのです。何が正反対かと言いますと、アサザは、貴重でレッドデータに出ている花なのですが、キショウブは、増えすぎて困るブラックリストに挙げられている植物なのです。同じ黄色でも大違い。でも、当の植物たちは、人間がどう思おうと、六甲山の自然環境を謳歌していることでしょう。

コアジサイの香りをスタートに霧が谷を一周しました。初夏の新しい花々の交替時期でもあります。

先ほど、ガイドハウスで駐在していますと明日の自然探索ツアーの予約が入りました。11時と1時30分の2回、土日祝日に、自然観察ツアーを無料で行っています。自然を満喫したい方、ぜひご来館ください。

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