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2017年9月16日

初秋の風情

朝晩は、大気が冷えてきて、朝露が目立ち始め、
草むらでは、コオロギやキリギリスなどの虫の鳴き声が、
よく聞こえてくるようになってきました。

六甲山上記念碑台周辺でも旅する蝶 アサギマダラが見られました。

秋来ぬと目にはさやかに見えねども、風の音にぞ驚かれぬる

淡い紫色の 釣鐘の形をした花がいくつも風に揺れる様は、
心和む初秋の風情を感じ、揺れていると、かすかな鈴の音が聞こてきそうです。

ツリガネニンジン(釣鐘人参)キキョウ科 ツリガネニンジン属
学名:Adenophora triphylla

茎に輪生する枝の先に釣鐘状の花を下向きにつけ、
花冠の先は浅く5つに裂け、雌しべが長くつき出した姿が可愛らしい花です。
白く太い根が朝鮮人参に似ていることからツリガネニンジン(釣鐘人参)。
花の姿はまさに可愛い釣鐘ですが、根っこは引っこ抜かないと見えないので、
命名由来の後ろ半分は引き抜かないとわかりませんね。
お薬にもなり、生薬名:沙参(しゃじん)と言い、
鎮咳・去痰の目的で慢性のせき止め、たんきり、
のどの痛みを止めるのに効き目があるそうです。
また、古くから、
山でうまいのはオケラにトトキ、嫁にやるのもおしござる・・・と言って、
春先のツリガネニンジンの若芽は非常に美味しく、
人に食べさせるのも惜しい気持ちをはやしたものだそうです。
(トトキとは、ツリガネニンジンの古い呼び名)
記念碑台周辺では、ツリガネニンジンは数株を見るくらいで、
山菜として楽しむほど、どこでも普通に生えている野草ではなくなってしまっています。
神戸の市街地からすぐ近くの六甲山の残しておきたい自然です。
いくら美味しいと知ってはいても、若芽を摘んだり、
薬草になるからと根を掘り上げたりなどはしないでください。
見かけても、写真を撮るだけに!!
秋の気配を感じながら、涼やかな鈴の音を思い、楽しむだけにしてくださいね。

記念碑台園地にあります、六甲山自然保護センター前では、
ゲンノショウコの花がたくさん咲いています。

ゲンノショウコ(現の証拠) フウロソウ科 フウロソウ属
学名:Geranium thunbergii

管理人さんが、センターの軒下に陰干ししています。

薬草として知られ、
昔から下痢止めの薬草とされていて、陰干しにした全草を煎じて飲むと、
ぴたりと効くので「現の証拠」(ゲンノショウコという名がついたといわれています。
「てきめん草」や「たちまち草:太知未知久佐(たちまちぐさ)」
「医者いらず」とも言われます。
赤色は関西に多く、白色は関東に多いと言われていますが、
こちらでは、赤白、仲良く咲いている光景に出会います。
薬効成分は、赤花も白花も変わりはないそうです。

秋への移ろいは、ひっそりと緩やかに小さな変化を重ねつつ進んでいます。
心静かに耳を澄ませば、
寄り添い続けてくれる自然の声が聞こえてくるような気がします。 

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